「夏は来ぬ」の歌をご存知でしょうか。明治38年に作られた文部省唱歌です。
この歌はいつ歌うのがピッタリだと思われますか?はい、旬は今です!
今年は「こどもの日」の5月5日が「立夏」。暦では今はもう「夏」なんです。ですからこの歌は「今」歌ってほしい曲なのです。
高齢者向け歌番組の「うたおうタイム」5月号には、この「夏は来ぬ」の歌も載っています。
季節を感じながら、是非大きな声で歌って頂きたいです。
歌詞を見ると、1番では卯の花(ウツギ)とホトトギス。2番では五月雨に田植え。3番では橘の花と蛍。4番では楝(おうち)、水鶏といった季節を思わせる歌詞がてんこ盛り。
楝とはセンダンのこと。しっかり大きくなる木で柔らかな葉、そしてこの季節に小さなうす紫色の花が咲いてほのかな上品な香りが漂います。センダンの樹皮は駆虫薬としても用いられるそうです。
この花は、万葉集でも歌われています。
妹(いも)が見し楝の花は散りぬべし 我が泣く涙いまだ干(ひ)なくにも 山上憶良(第5巻0798)
妻が見た楝の花はもう散ってしまうが、私の涙はまだ乾かない
これは、妻を亡くした大伴旅人の気持ちになって山上憶良が詠んだ歌だそうです。
ちなみに「センダンは双葉より芳し」と言われるセンダンは、白檀(びゃくだん)を指すのだとか。
写真は、今日東京の郊外で撮ったセンダンの花です。(2021.5.10)