私たちの声帯は長さ2センチにも満たないような小さな器管です。そこを肺からの空気が通り、左右の粘膜に覆われたひだが振動することで声が出ます。

高齢者は独り住まいの方も多く、特に昨年来のコロナ禍においては「喋る機会」が減っていて、声帯の根元の筋肉がやせてしまって声を出しづらくなっている方を多く見受けます。

声帯の筋肉が痩せてしまうと、声帯がきちんと閉まらなくなり声がかすれる等の症状が出ます。声帯がきちんと閉まらないと、身体に力が入らない状態となり、重いものが持てなくなる等、身体にも様々な不具合が出て来ます。

そのため、積極的に声を出す機会を作ることは、高齢者にとって非常に大切です。特に歌唱活動は、話し言葉より使う音域も広く、呼吸も深く吸い、長く吐く必要があり、更には舌や口周りの筋肉も動かし、身体全体そして口腔ケアにとっても非常に良いリハビリとなります。

高齢者は一般に出せる音域が下がって来ますが、うたおうタイムでは、意識的に発声練習で高いドよりも上の音まで出す発声練習を組み入れています。少しずつ練習をしていると、ほとんどの方が高いレの音までは出せるようになります。うたおうタイムでは、多くの方が楽に歌えるように全体的に音域は低めに設定してありますが、必要以上に下げてしまわないよう、調整をしているのです。高い調子ですと、明るい感じの心理的効果も期待できます。

無理なく、楽しみながらリハビリを。

様々な配慮を行いながら、ご利用者様の健康維持を図って参りたいと思います。(2021.6.26)