先週末、桜の花が満開の伊勢神宮へ行って来ました。外宮と内宮の他に倭姫宮や猿田彦神社、佐瑠女神社などにもお詣りして来ました。今回は、伊勢の地での気付きを書かせて頂きます。

皆さんは、天宇受売命(アメノウズメノミコト)をご存知でしょうか。遥か昔、天照大御神が天の岩屋に入り世の中が荒れて暗闇になった時、この天宇受売命が岩屋の前で舞踏し、神々が喜び笑う様子を不思議に思った天照大御神が岩戸を開けて外に出られて、平和な世の中が戻ったとされています。この天岩戸伝説は、実は日本における音楽療法の始まりともいわれています。

他にもこの天宇受売命は、天孫降臨の折に、天津神(アマツカミ)の瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)が天上の高天原から日向の高千穂に降りる道中、難所と言われる「あめのやちまた」で道案内をするために待っておられた国津神(クニツカミ)の猿田彦(恐そうな風貌だったそうです)を瓊瓊杵尊に繋いだ神でもあるとされています。

この日本神話に登場する天宇受売命は、まさに音楽の力を体現されているように思いました。
音楽は、暗くなった私たち人間の心を明るくする力を持っています。そして瓊瓊杵尊と猿田彦を繋いだように、音楽は人々のコミュニケーションを培う力を持っているからです。

天宇受売命をお祀りする佐瑠女神社の由緒書には、天宇受売命は芸能の祖神であり、高ぶる心を鎮め眠っている力を呼び起こし活気づける鎮魂振魂(たましずめ・ふりたま)の元祖、人々や仕事などの縁結びの神、そしておおらかな女性の鏡、ひいてはあらゆることから自立し誇りを持って自ら生きようとする人々にとって極めて大切な神様として祀られていると書かれてありました。

天宇受売命のように、私も音楽を通じて、ご縁を頂いた皆さんに明るい気持ちや人の輪の橋渡しを続けて行きたいと思います。(2022.4.10)